多様性を寛容な態度で受け止める
開成高校で過ごした時代を振り返って、すごいと思うのは、生徒に対してかなりの自由や多様性を認め、自分のやりたいことを追及するのを邪魔しなかったところです。それが伝統なのかどうかはわかりませんが、運動会も文化祭もすべて生徒が自主的に委員会を組織して実施していました。予算だけ決まっていて、悪いことはしていけないと言われるだけで、先生方は本当にノータッチでした。
生徒会の活動も同様でした。役員の中に全学連の先輩の影響を受けて新左翼っぽい言動をする生徒がいて、わざわざ新左翼の根城があった池袋千早町の印刷屋まで行って学校新聞をつくるなど、好き放題やっていました。紙面上で「校長先生、おおいに語る」と題して校長批判をしたときには、担任の先生がさすがにまずいのではないかと心配しましたが、当の校長先生からは一言も怒られませんでした。
高校2年生の時に、文化祭のパンフレットづくりを担当しました。開成高校出身の有名人の先輩にエッセイを書いてもらおうと考え、俳優の中村伸郎さん、映画評論家の荻昌弘さん、スポーツ評論家の虫明亜呂無さんの3人にお願いしました。中村さんのエッセイは「今の開成はけしからん。自分には娘しかいないが、もしも息子がいたら、今の開成には絶対に入れない」という辛口の内容でした。
生意気盛りの私は、その文化祭のパンフレットをありとあらゆるマスコミに送りました。すると、何社かが取り上げてくれました。朝日新聞全国版の教育欄のコラムにも載ったのですが、よりによって「中村伸郎氏が今の開成には息子は入れないと書いている」とあったのです。全国版ですから、反響は大きかったはずですが、誰からも何の注意もされませんでした。また生徒が勝手なことやっているね、くらいでおしまい。寛容で多様性を重んじる学校で学べたのはよかったなと思います。
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