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ファイナンスの思想

 日本企業が全般的に将来を想像する力が弱いのは、ファイアンスの思想が企業経営に普及していないために起こっている現象だと、私は考えています。

 ファイナンスでは、将来を現在に引き直して、NPV(正味現在価値)がいくらになるかを考えます。ファイナンス系の人材がトップになると、このシナリオになればNPVが減る、売上が前年比のままでいけば、あと何年もつかというように、頭の中で考えます。しかし日本企業では、営業畑、製造畑の人がトップになるため、売上と利益ばかりを見ていて、そのような財務思想は主流ではありません。

 たとえ現時点で利益は出ているけれども、だらだらと利益率が下がり、従業員にやる気がなく、新しい商品やサービスが生まれず、イノベーションが起こらない会社はいずれつぶれます。一方、赤字であっても、問題点を確実に克服できることがわかっていれば、将来的に挽回は可能です。売上と利益だけで短期的に経営判断してはいけないというのは、そういうことです。

 もちろん、現在価値を計算するために予想利回りで割り引くのは1つの考え方にすぎず、必ずそうなるという保証はありません。ですが、そうやって現在に割り引いて価値を考えてみないと、「将来はわからない」とただ口で言うだけになってしまい、身動きが取れません。それでは経営が成り立たないので、たとえ架空の数字であっても、それを判断の基準にすることで、何をすればいいかを考えられるようになるのです。経営にはそういうファイナンスの思想がもっと必要ではないでしょうか。

 

 

 

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