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中長期的な国家戦略

    国家としてのグローバル戦略は経済レベルに偏りがちですが、重要なのは人的資源です。特に、日本のシンパ(同調者)を増やすために、中長期的な視点で戦略を立てる必要があります。

 その点で実にしたたかなのが、イギリスです。たとえば、以前ケンブリッジ大学で学んでいた時に、アフリカの聞いたことのないような国から大勢の留学生が来ていることに驚きました。彼らのもとに母国から訪ねてくるのは、現役の大臣や首相などその国の要人です。つまり、彼らはそういう人たちの子弟や親戚というわけです。彼らは自国に戻れば、それなりのポジションにつき、ゆくゆくは国を背負っていきます。イギリスはそういう人たちを国費留学生として招き、ケンブリッジで学ばせているのです。

 さらに卒業して何年後かに、ホームカミングデーがあるからとケンブリッジに再び招き、そこに外務省の人などが出向いて接待し、縁をつなげていくという活動も行います。こうしてリレーションができれば、いくらロシアや中国が好条件で取引を持ち掛けても、そう簡単になびかないでしょう。若い時に受けた恩はそうそう忘れるものではありません。イギリスは、こうしたすべてを念頭に置いて、戦略的に中長期の投資を行っているのです。

 では、日本の政府はどうなのかというと、たとえば、日本の留学経験者などを海外の大使館に集めて、ホームカミングデーを催したといった話はほとんど聞いたことがありません。限られた国家予算を最も効果的に使うためにも、戦略的に親日派を増やす方法をもっと考えたほうがいいと思います。

 

Posted in: ヘッドハンターの独り言